床暖房の3つのデメリットとは?種類とメリット・施工事例を解説
床暖房の導入は高額な費用がかかるため、慎重に判断したいものです。床暖房を取り入れたいと思いつつ、デメリットが気になり躊躇している方も少なくないでしょう。
床暖房は、エアコンやファンヒーターなどの暖房器具にはない魅力がある一方で、知らないと後悔につながるポイントがあるのも事実です。
この記事では、床暖房の種類である「電気式」「温水式」の特徴を解説し、導入におけるメリット・デメリットについても詳しくまとめています。
床暖房を取り入れた施工事例も紹介していますので、実際の間取りを参考にイメージづくりにお役立てください。
床暖房の種類
床暖房を導入する際に、まず決めなければならない2つの種類について解説します。
- 電気式床暖房
- 温水式床暖房
電気式床暖房
電気式床暖房とは、電気で暖まる発熱材(ヒーター)を床下に設置するタイプの床暖房です。
発熱方法により、以下3つのタイプに分けられます。
- 電熱線式
- 蓄熱式
- PTC発熱ヒーター式
どのタイプを選ぶかで多少の違いはあるものの、メンテナンスの手間が少ない点は電気式床暖房の特徴です。
一般的な電化製品と比べると、耐用年数が長いこともメリットの1つ。
一方で、床全体を暖めるのに時間がかかるので、すぐに暖まりたい場合には向いておらず、それだけのパワーを要するため電気代が高くなる傾向にあります。
設置作業が簡単で初期費用を比較的抑えられますが、使用時におけるランニングコストの高さはデメリットになるでしょう。
温水式床暖房
温水式床暖房とは、床下に設置したパイプに温水を循環させて、床全体を暖めるタイプの床暖房です。
温水の作り方により、以下4つのタイプに分けられます。
- 電気式
- ガス式
- ハイブリッド式(電気とガス併用)
- 灯油式
温水式は、一度水を暖めてしまえば、余熱を利用しながら効率的に床を暖められます。その分、消費パワーの削減につながるため、ランニングコストを抑えられる点がメリット。
また、お湯を循環させる仕組みなので、床の暖まりが早いことも特徴です。
一方、専用の設備を用いる温水式床暖房は、定期的なメンテナンスが欠かせません。電気式とは違い、設置作業にかかる費用が高額になることも押さえておきましょう。
床暖房のメリット3選
電気式・温水式問わず、床暖房には以下3つのメリットがあります。
- 足元から部屋全体を暖められる
- お子さまがいても安心して使いやすい
- 掃除やメンテナンスの手間が減る
メリット①:足元から部屋全体を暖められる
足元から暖められた空気が部屋全体に広がり、寒い日でも体が冷えにくく、快適に過ごせます。
一般的な暖房器具は空気を暖めるもので、暖まった空気は上昇する性質を持ちます。その結果、冷たい空気が下に溜まり、床に座ったり寝転んだりして過ごす多くの一般家庭では、足元の冷え対策が課題です。
その点、床暖房は床から直に伝わる熱と「輻射熱(ふくしゃねつ)」を利用して空間を暖めます。床から発せられる熱(赤外線)が壁や天井に反射して、効率的に部屋全体を暖められるのです。
メリット②:お子さまがいても安心して使いやすい
床暖房は熱源が床下にあるため、やけどや触れてしまう危険性がありません。
お子さまのいるご家庭では、暖房器具の前に事故防止のためのガードを設置していることも多いのではないでしょうか。
床暖房なら、お子さまが走り回ってもぶつかることがなければ、熱風によるやけどの心配も不要です。
ただし、長時間同じ場所にいると低温やけどの恐れがあるため、マットを敷いたり温度調節したりして対策しましょう。
メリット③:掃除やメンテナンスの手間が減る
床暖房の器具やコンセントは床上に出ていないため、日々の掃除も簡単です。
掃除機やフローリングワイパーを使う際、暖房器具が出ていると邪魔になるうえ、重さがあるため移動させるのも面倒に感じるでしょう。
また、床暖房の種類にもよりますが、頻繁なメンテナンスは不要で、エアコンのようにフィルター掃除もありません。
そのうえ、オフシーズンに収納する必要がないので、片付けの手間がないのもメリットと言えるでしょう。
日頃の家事を効率化するなら「家事ラク動線」を採用した間取りがおすすめです。人気の間取りをまとめた以下の記事も参考に、住まいづくりのヒントを見つけてみてください。
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床暖房のデメリット3選
床暖房のデメリットは、以下の3つです。
- 暖まるまでに時間がかかり使い勝手はイマイチ
- エアコンに比べて電気代が高くなりがち
- メンテナンスや修理が大変になることも
デメリット①:暖まるまでに時間がかかり使い勝手はイマイチ
床暖房は、器具そのものはもちろんのこと、部屋がすぐに暖まるものではありません。
「部屋が暖かい」と感じるまでは起動後1~2時間ほどかかるため、ほかの暖房器具を併用する必要があります。
もしくは、部屋を使用する時間に合わせて、あらかじめタイマーを設定するのも1つの方法です。
とはいえ、前述したように、床暖房は輻射熱を利用して空間を暖めるものです。一度暖まった空気が冷えにくいといったメリットも踏まえて、導入を検討しましょう。
デメリット②:エアコンに比べて電気代が高くなりがち
暖まるまでの電力消費や床暖房だけでは物足りないケースがあることから、導入する種類により差はあるものの、電気代が高くなりがちです。
ひどく冷え込む日や寒冷地では、エアコンなどほかの暖房器具と併用しなければ寒さをしのげないことがあるからです。
夏場の出番がないうえに、ご家庭によっては、冬場の使用もわずかな期間に限られる場合もあるでしょう。
床暖房の設置自体にも高額な費用が発生するため、使用するシーンや環境を踏まえて、慎重に判断することが大切です。
その点、当社では床暖房完備の物件を多数用意しているため、設置費用を削減できます。その分をオプション費用に充てて、理想の住まいを手に入れてみてはいかがでしょうか。
【関連記事】建売のおすすめオプション10選!相場と選び方のポイントを解説
デメリット③:メンテナンスや修理が大変になることも
基本的に、どの暖房器具もメンテナンスや修理は必要となりますが、床暖房の場合は高額な費用と大がかりな作業が求められる傾向にあります。
特に、温水式床暖房は定期的なメンテナンスが欠かせません。
- 2~3年に1度の不凍液の補充
- 10~15年に1度の熱源設備の交換
電気式床暖房においてはメンテナンス頻度は多くありませんが、修理となると床を剥がす作業が伴い、30万円前後の修理費用がかかることも。給湯器の交換が必要な温水式だと、60万円以上することもあるでしょう。
床暖房を採用する場合は、計画的にメンテナンス費用を貯めておき、急な故障や修理に備えておくことが重要です。
床暖房を取り入れた間取り実例3選
建売住宅で、床暖房を取り入れた間取りを3つ紹介します。
- 20.9帖のLDKに床暖房を取り入れた間取り【岐阜】
- リビングと畳コーナーを併設した開放感のある間取り【愛知】
- 3面開口を備えたリビング・和室でゆとりのある間取り【三重】
実例①:20.9帖のLDKに床暖房を取り入れた間取り【岐阜】
この家は、20.9帖のLDKに床暖房を取り入れました。ポイントは以下の2点です。
- 南側の窓から光が入る心地よいLDK
- リビングと一体化して使える6帖の和室
リビングの窓から暖かい光が差し込み、LDKを明るく照らします。
寒い時期には床暖房を付けることで、さらに暖かく心地よいひとときを過ごせるでしょう。
隣接する和室は6帖あるため、こたつを置いたりお昼寝をしたりと活用の幅が広がります。
実例②:リビングと畳コーナーを併設した開放感のある間取り【愛知】
この家は、21.5帖のLDKに床暖房を設置しました。ポイントは以下の2点です。
- 使い勝手のよい畳コーナーを隣接
- たっぷりと面積を確保した開放的なLDK
体をうんと伸ばせる畳コーナーは、ちょっと一息つきたいときにぴったり。
間仕切りもないため、リビングにいる家族とも距離が近く、コミュニケーションが取りやすいでしょう。
床暖房のあるリビングでは家族との会話を楽しみ、ゆっくり寛ぎたいときは畳コーナーを活用するなど、暮らしに合わせて自由な使い分けが可能です。
実例③:3面開口を備えたリビング・和室でゆとりのある間取り【三重】
この家は、17.8帖のLDKに床暖房を取り入れました。ポイントは以下の2点です。
- 3面開口で採光・風通しが良好
- 収納を確保して整った暮らしを実現
リビングから和室にかけて3面に窓を配置したことで、採光が行き届き風通しにも恵まれています。
これまで紹介した2つの間取りと比べると、コンパクトな面積となりますが、充実した収納スペースが魅力です。
また、床暖房のおかげで暖房機器の設置も不要であることから床掃除もしやすく、清潔感のある美しい空間を保ちやすくなるでしょう。
まとめ:床暖房の導入はメリット・デメリットを踏まえて慎重に判断
床暖房は、冷えやすい足元から部屋全体にかけて暖かさが広がり、過ごしやすい空間を実現できます。
床に置くタイプの暖房器具とは違い、お子さまのいるご家庭でもやけどの心配なく、安心して使用できるのも魅力です。
一方で、電気代が懸念される側面もありますが、エアコンやファンヒーターを併用することで効率的に部屋を暖められて、むしろ電気代の節約につながることも。
床暖房が活躍する場面やコストパフォーマンスなど、メリット・デメリットを踏まえたうえで導入を検討しましょう。
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この記事の監修
足立 克久
2005年アサヒグローバルホーム入社
入社後、宅建士、建築士などの資格を取得。
その知識を生かし、分譲住宅、注文住宅の契約を300棟以上担当。
現在は東海三県の土地仕入れ、分譲住宅の開発に携わりながら住宅を販売している。