勾配天井とは?新築住宅に取り入れるメリット・デメリットと施工事例を解説
空間に開放感が出たり、採光を確保しやすいことから、新築住宅に勾配天井を取り入れたいと考える人が増えています。
一般的な天井とは異なり、傾斜のついた天井は、見た目だけでも空間のアクセントになるでしょう。
しかし、開放感やデザイン性などから「勾配天井を取り入れれば良い」というわけではなく、ポイントを押さえて採用するかどうか決めることが大切です。
そこでこの記事では、勾配天井の概要や新築住宅に取り入れるメリット・デメリット、後悔しないためのポイントを解説します。
勾配天井を取り入れた間取り例も紹介しますので、家づくりの参考にしてください。
目次
勾配天井とは
勾配天井とは、水平な天井ではなく一定の角度で傾斜している天井です。「傾斜天井」と呼ばれることもあり、天井に傾斜をつけることで空間にメリハリが生まれ、デザイン性を高められます。
一般的な天井とは異なり、勾配がつくことで部屋の高さに変化が生まれ、空間に広がりが出るのも大きな特徴と言えるでしょう。
また、傾斜天井は屋根の形状を活かした設計になっており、内装のアクセントだけでなく、採光の確保といった快適な住環境の実現も可能です。
勾配天井は機能性だけでなく、住まいのデザイン性を高める要素としても注目されています。
勾配天井を取り入れる3つのメリット
勾配天井を取り入れるメリットは以下の3点が挙げられます。
- 開放感のある空間を演出できる
- デザイン性の高い空間にしやすい
- 採光や通気性を高めやすい
メリット①:開放感のある空間を演出できる
勾配天井を取り入れると部屋に広がりが生まれ、開放的に感じられます。
天井が斜めになっていることで、視線が上向きに引き伸ばされて空間全体が大きく見えるのが理由の一つです。コンパクトな部屋でも視覚的に広く見せられ、空間を有効に使いたい場合にはおすすめです。
また、通常の平らな天井と比べて、圧迫感が少なくなるので、居心地のよい環境にしたいときにも効果的。リラックスしたいリビングや集中したいのびのびと遊べる子ども部屋など、さまざまな部屋に適している天井です。
なお、リビングの開放感や広さについては、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
【関連記事】リビングは20帖がベスト?メリット・デメリットとレイアウト例3選を解説
メリット②:デザイン性の高い空間にしやすい
勾配天井は、デザイン性の高い空間にしやすいです。具体的には、以下の点でデザイン性を高められます。
- アクセントクロスを取り入れる
- 見せ梁にする
- 照明で高級感を演出する
壁の一部に色や模様が異なるクロスを使用するアクセントクロスは、空間にメリハリが生まれて、おしゃれな雰囲気を出しやすくなります。
また、天井の梁をあえて見せると、木の温もりを感じたり個性を演出したりすることも可能です。梁の素材や色によって、空間の印象を大きく変えられるでしょう。
さらに、照明を工夫すると高級感の演出につながります。スポットライトやダウンライトなど、使う照明によって柔らかさや洗練さといった印象も変えられるので、理想とする見せ方から照明を選んでもよいでしょう。
メリット③:採光や通気性を高めやすい
勾配天井は、採光や通気性を向上させられるメリットもあります。
斜めに設計された天井により、通常よりも高い位置に窓を配置することができ、より多くの自然光を取り込むことが可能です。同様に、風通しのよさを踏まえた設計もできるでしょう。
ただし、間取りや風向き、周りの住宅環境など、さまざまな要因で適切な窓の位置が異なります。窓の位置に関しては、工務店と相談しながら決めるのがおすすめです。
勾配天井を取り入れる3つのデメリット
勾配天井を取り入れる際は、以下の3つのデメリットも確認しておきましょう。
- メンテナンスが大変になりやすい
- 屋根からの熱が伝わりやすい
- 空調費用がかかりやすい
デメリット①:メンテナンスが大変になりやすい
一般的な天井と比較して、勾配天井のメンテナンスは負担が大きくなりがちです。
例えば、高窓の清掃や修理には、脚立やはしごが必要です。また、高窓は高所にあるためほこりがたまりやすく、定期的な清掃も欠かせません。
照明器具に関しては、故障すると一般的な脚立では届かないこともあり、自分で取り替えるのも苦労するでしょう。
デメリット②:屋根からの熱が伝わりやすい
勾配天井は天井面が斜めになっているため、天井と屋根の間に空気層ができにくく、熱が伝わりやすいです。
夏場は屋根からの熱が天井を通して室内に伝わりやすくなり、冬場は室内の暖かい空気が屋根へ逃げていきやすくなります。
この点、断熱性や気密性の高い家であれば、勾配天井を採用してもさほど気にならないケースがほとんどです。工務店の快適性能に関しては、定量的な数字で比較検討しましょう。
デメリット③:空調費用がかかりやすい
勾配天井は熱がこもりやすいため、空調の効きにも影響が出やすいです。
室内を適温に保つために、設定温度を低くしたり運転時間を長くしたりする必要があります。結果として、空調費用がかかってしまう傾向です。
熱のこもりやすさに関しては、窓の配置で風通しをよくしたり、採光の取り方によって室内を暖めすぎないようにしたりすることも意識しましょう。
なお、冬場の暖房については床暖房も選択肢のひとつです。
以下の記事では床暖房について解説していますので、あわせてご覧ください。
【関連記事】床暖房の3つのデメリットとは?種類とメリット・施工事例を解説
勾配天井で後悔しないためのポイント
勾配天井で後悔しないために、以下のポイントを実践してみましょう。
- シーリングファンやサーキュレーターを設置する
- 照明の位置や角度を検討する
- LEDなど照明の種類も考える
- 断熱対策をする
まずは、室温を一定に保つために、シーリングファンやサーキュレーターの設置がおすすめです。窓の配置だけでなく、仕組みで空気の流れを作ることを意識しましょう。
また、空間全体が明るくなるように、照明の位置や角度にも注意が必要です。勾配天井の場合、手元や足元を照らすまでの距離が通常より長くなるので、照射する方向や照明の数は慎重に検討しましょう。
ほかにも、LEDライトを選ぶと、寿命が長持ちするだけでなく電気代の節約につながります。寿命が長持ちすれば、頻繁に取り替える必要もありません。
また、空調費用を抑えるための断熱対策も必要です。断熱効果の高い素材の選定や、窓を二重サッシにするなどを検討してみてください。
勾配天井を取り入れた新築住宅の間取り例
勾配天井を取り入れた新築住宅の間取り例を3つご紹介します。
- 子ども部屋に勾配天井を取り入れた2階建ての家
- 主寝室と子ども部屋に勾配天井を取り入れた2階建ての家
- 空間のアクセントとして勾配天井を取り入れた2階建ての家
間取り①:子ども部屋に勾配天井を取り入れた2階建ての家
こちらの間取りの注目ポイントは、以下の2点です。
- クローゼットを邪魔しない位置に勾配天井を採用している
- 窓からの採光も期待できる
部屋の長辺側に勾配天井を取り入れ、クローゼット部分に勾配天井を被らせないことで、収納を確保しつつ空間のアクセントとしました。
窓からの採光も可能で、空間内の明るさも確保しています。窓と勾配天井の組み合わせから、実際の広さ以上に空間の広がりを感じられるでしょう。
間取り②:主寝室と子ども部屋に勾配天井を取り入れた2階建ての家
こちらの間取りの注目ポイントは、以下の2点です。
- 勾配天井の方向を統一している
- バルコニーにつながり開放感を感じられる
子ども部屋と主寝室の2部屋に勾配天井を取り入れ、面積も広めにとっています。
子ども部屋と主寝室の勾配天井は同方向に配置され、デザインに統一感を持たせました。
それぞれバルコニーにつながることから、開放感を感じやすいです。
南に面する窓からたっぷりと日差しが降り注ぎ、勾配天井による広がりのある空間で、それぞれの時間を過ごせる間取りを実現しました。
間取り③:空間のアクセントとして勾配天井を取り入れた2階建ての家
こちらの間取りの注目ポイントは、以下の2点です。
- 北側に勾配天井を採用している
- 階段を上がると開放感を感じる
子ども部屋や主寝室ではなく、階段・廊下やクローゼットに勾配天井を取り入れたこちらの間取り。
居室に取り入れない代わりに、2階に登った先に勾配天井を採用することで、空間の広がりに一役買っています。
いずれの勾配天井にも窓を設けて、採光を確保できるようにしました。北側は採光を確保しづらく暗くなりがちなことから、勾配天井にして、より高い位置に窓を設ける工夫を凝らしています。
まとめ:新築住宅に勾配天井を取り入れて理想の住まいを実現
勾配天井は、開放感やデザイン性の高さなど、新築に取り入れるメリットがあります。
一方で、メンテナンスや空調費用などについては対策が必要です。
この記事で紹介した勾配天井の特性を活かして、新築住宅に取り入れるかどうか考えてみましょう。
勾配天井を取り入れた間取りをはじめとして、アサヒグローバルホームではさまざまな物件を提供しています。物件をもっと見たい方は「物件を探す」ページをご覧ください。
【関連記事】新築戸建ての駐車場づくりは慎重に?よくある失敗とサイズを決めるポイントを解説
【関連記事】ローコスト住宅と建売住宅ならどっち?選ぶときの3つのポイントを解説
【関連記事】建売住宅の注意点8選を購入・契約・引渡しの流れ別でわかりやすく解説
簡単3ステップであなたのお気に入りの住まいに出会えるかも!
以下のステップで理想の住まいを探しましょう!
ステップ①:希望条件を決める
ステップ②:希望条件に合う物件をリストアップ
ステップ③:実物を見て確認する
物件をお探しの方は「詳しくはこちら」から
この記事の監修
足立 克久
2005年アサヒグローバルホーム入社
入社後、宅建士、建築士などの資格を取得。
その知識を生かし、分譲住宅、注文住宅の契約を300棟以上担当。
現在は東海三県の土地仕入れ、分譲住宅の開発に携わりながら住宅を販売している。